秋気とふ貨物関門海峡をゆく
鰯山陽大
「秋気」(季語・秋/三秋)
〇冷やかに澄む秋の空気をいう。唐の詩人柳宗元の詩「 秋気南澗二集ヒ、独リ遊ブ亭午ノ時」による季語とされる。
簡単に説明すると「秋の空気」のことです。
秋の空気は澄んでいて、吸い込んだ押し返すように胸の中のもやもやも吐き出されるかのように感じませんか。
そしてこの俳句、皆さんがきっと気になっている「とふ」は「~という」のことです。
読み方は「とう」。「シュウキトウ」と読んでください。
「秋気という貨物」というのは、あの貨物船は「秋の空気」という貨物を乗せて運んでいるのではないか。
そんな比喩として表現してみました。
関門海峡をしみじみと見たことのある人は感じたことがあるんじゃないでしょうか。
本州と九州を繋ぐ関門海峡。人と人を繋ぐ街、下関。貨物船もまた、なにかを繋ぐために今日も進んでいます。
「秋気とふ貨物」が今日も「関門海峡を」進んでいる様子、今一度しみじみと見てください。
そうすると、目に、耳に、肌に、心に、澄みきった秋が押し寄せて来るとおもいます。
先月に掲載した写真にも載っていた種田山頭火の句碑には、
「あんな船の大きな汽笛だつた」
とあります。
きっと種田山頭火はこの関門海峡をゆく船を見ながら過去に想いを馳せたのでしょう。
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