ただの近代建築じゃない!旧秋田商会ビル
唐戸交差点の歩道橋から見えるこの建物。
「東大753名合格」のポスターに「すっ、すごい。。」と気を取られましたが、そっちではなく、その隣の由緒ありげなビル。
こちらは1915年(大正4年)に建てられた下関市有形文化財、旧秋田商会ビルです。。と聞いて、「よし!週末のデートは秋田商会ビルに決まりだぜ!」って思う人はよっぽどの近代建築マニア以外いないでしょう。
私も取材がなければ下関に生まれ育ちながら一生行かなかったかもしれない「旧秋田商会ビル」。
悪いことは言いません。今すぐ行って下さい!
無料ですし。
いや、それよりなにより何がすごいかって、建物自体も見どころ満載なんですが、なんといっても秋田商会の創始者にして、万国ヒゲの会会員の秋田寅之助さんの豪快な生き方!
どこぞの仙人かと思いましたが、仙人ではなくて一代で秋田商会を大企業に育てた政財界の大物です。
ヒゲ剃りの度に大量出血して、あきらめてヒゲを伸ばし始めたそうです。
そして、この寅之助さんの豪快さや人柄の良さが垣間見える写真や数々の品物が展示されています。
馬で富士山に登ってみたり。。(大変だったのは本人以上におそらく左の二人。)
男の子の初孫誕生に喜んで、初節句を祝いまくったり。いや、兜多すぎるし!!!!
今戦が始まってもすぐ出陣できそう。
羽振りのよさと遊び心を伝える建物
秋田商会は寅之助さんがここ下関で創立した商社で、日露戦争勝利の波に乗って大陸へ積極的に進出。
東京、大連、上海や満州、台湾、朝鮮半島にも支店を持つ大企業となりました。ここはそんな秋田商会の本社ビル兼住居だったそうです。
当時としては珍しい防火壁を使用していたため、戦争でも焼け落ちず、寅之助さんの羽振りのよさと遊び心を今に伝えています。
一階は洋風な元オフィス。数々のパネルが展示されています。
また、市の観光情報センターにもなっていて、周辺の観光地の情報も手に入ります。
観光で下関にいらっしゃる方は、是非ここから観光を始められてはいかがでしょうか。
この時計は、なんと102年間止まらずにチクタク動いているリアル「おじいさんの時計」。
是非この時計の前で平井堅に歌ってもらいたい。誰か交渉して。
2階と3階は和。元住居です。使われている木材等は全て当時の一級品。
そしてこの、「釘を一本も使用していない螺旋階段」の上はなんと日本で一番古い屋上庭園!
普段は登れませんが、なんと取材ということで特別に登らせてもらいました。ありがとうございます!
ここは茶室だそうです。ゆ、優雅。。
おおおーーー。
日本庭園に造詣がなさすぎて、「おおーー。」としか言い表せませんが、100年以上この庭園を管理していたのは本当にすごい!
寅之助さんは、豪快なやり手というだけではなく、木や花を愛し、子ども好きで社員を大事にする優しい人だったそうです。
何度か一般公開されましたが、次回の一般公開予定は残念ながら「未定」だそうです。
歩道橋からもちょっとだけ見えます。
他にもこの時代には珍しかった水洗トイレや手動式エレベーター等、いっぱい見どころがあるんですよ。
ここでは全部説明できないので、是非ご自身で行かれて下さい。
>毛利家の家紋?
1階には秋田商会の法被が置いてあり、それを着て記念撮影もできます。私もさっそくトライ。
入口の前で商人っぽく。
背中にプリントされた秋田商会の社章。
歴史好きの方はお気づきかもしれませんが、長州の殿様、毛利家の家紋です。
毛利家から特別に許可を得て社章として使用していたそうです!いや、寅之助さん、何もかもすごい。
今回、秋田商会について全く何も知らないまま取材に行った私に、職員の西村さんがとっても丁寧に説明してくださいました。「感じがいい」を絵に描いたような素敵な方でした。本当にありがとうございました!
近代建築好きの方、秋田寅之助の生き方に触れてみたい方、感じがいい西村さんに案内してもらいたい方、是非秋田商会ビルへ行かれて下さい!
住所下関市南部町23-11
電話番号083-231-4141
営業時間9:30~17:00(見学は16:40まで)
休館日年末年始(12月29日~1月3日)
駐車場なし
ホームページなし