下関市長府港町14-1 [Google Map]
083-246-1211
24h操業/通常は内部見学不可
定休日なし
地図や駐車場など詳細な情報はこちら
Contents
祝!再訪「神戸製鋼所 長府製造所」に再潜入
下関市内には、私たち市民の暮らしにとっても身近な商品・有名企業の巨大工場がたくさんあるのは、もうご存じですよね??
彦島には三菱重工、駅前にはマルハニチロ、長府港町にはブリヂストン。
そして前回に引き続き、ご縁あってブリヂストンのお隣「KOBELCO(神戸製鋼所)」に工場見学させていただきました!
▼チェックがまだの方は、「前回記事」で圧倒的なスケールをぜひご覧ください!
【スケールについて前回のおさらい】
長府製造所のスケールをご説明すると、
工場の敷地面積は、371,300㎡(112,300坪)、
これすなわち、東京ドーム8個分!!
われらが関門海峡の関門橋でいえば、大橋を並べて13本分すっぽり入る(※)ほどにもなるんです!
(※最長1,068m×道幅26m=27,768㎡から算出)
神戸製鋼ってスゴイ・・・&長府の港町エリアのキャパもスゴイ・・・。(筆者つぶやき)
続いて、長府製造所の特徴もおさらいしておきましょう!
数ある神戸製鋼の分野・部門の中からアルミ押出部門(アルミ合金製品)と銅板部門(銅製品板製品)を担当していて、昨今の軽量化を求めるバンパーやフレーム等の自動車部品、電子材料などを生産する拠点として重要な役割を担っている!
皆様、おさらいはOKでしょうか!?
大人の(本気の)社会科見学スタート!
前回は、アルミ工場について中心の見学だったこともあり、銅板工場のご担当者様から銅板工場メインの見学を、とラブコールをいただけました!(ご担当の皆様、ありがとうございます!)
(本当は前回取材日が荒天だったこともあってご配慮いただいてのことですが)11月某日に改めての銅板工場「再見学」が叶いました!
そして、今回は前回以上に工場深部に入る為の配慮から、「安全靴」までお貸出しいただきました。(感謝です!)
上半身の装備は、前回と同じになります。ご興味ある方はぜひ前回記事をご覧くださいね。
「神戸製鋼所 長府製造所」銅板工場見学
今回は、銅板工場を代表して生産管理室主任部員の森岡さんと技術室の小野田さんのお2人に案内いただきました!
見学中のあまりのスケールの大きさに驚く私のリアクションにも、終始和やかに見守っていただきました(笑)
管理側のご担当であること、また女性である視点から細やかに説明いただくことで、難しい用語もスムーズに理解できるというもの!とてつもないスケールの工程や製品がいかに安全に、かつ質を確保しながら、正しい納期に完成するよう管理されるかをみていきましょう。
広い工場内を車も使いながら移動し、「銅板工場」へ。
神戸製鋼では「銅板=どういた」と呼ぶんです。神戸製鋼における「銅板製品」部門とは、
自動車の電子制御パーツ、半導体、スマホ・パソコン製品
これらの、私たちの生活により身近なPCやスマートフォンに使われる小さな小さな端子(写真)になっていく前段階の製造過程を神戸製鋼がサプライヤーとして製造に携わっています。
前回のアルミ工場よりも、「ゴォオーーー」という音と少々の熱が印象的です。
まさに工場見学の醍醐味!といったところでしょうか。
それもそのはず。さっそく銅の原料を1,200℃以上に熱した炉で溶解することから製造がはじまります。
まず、ものものしく目の前に現れたのは、炉で真っ赤っかに熱して、形成された巨大な塊!
その重量およそ、1本8トン!!!!
最高温度は、965℃!!!!
本当に真っ赤っか!そして美しい…
写真からも想像いただけると思うのですが、数メートル離れている見学位置からも、加熱炉の扉が縦に開いた瞬間に、どっと熱波が押し寄せてきました。
これは、見学用のフル装備&恰好も納得!
筆者がこの時点で思い出したのは、大阪の人気パーク●SJのアトラクション、「バックドラフト」(分かる方にはわかる!?)さながらの温度と熱波です。
それがこちら。
整然と積まれて管理されるこの棒状の塊は、鋳塊(ちゅうかい)と呼ばれます。
長さ5.5メートル、1本の重さ8トンずつの加工に適したサイズになっています。巨大な炉(=コアレス炉と呼ばれる、20トンもの原料を一気に溶かせる巨大な溶解炉)を使って第一工程を終えた段階なのです。
4本積んで肩までの高さ、縦の長さは筆者含めて3人直列に寝ころべるほどでしょうか。
お客様のニーズで、様々な成分、合金バランスがあるそうですが、主にこの2種類の銅製品の製造・加工を行っています。
見学ならではのリアルな素材感、原料を溶かしただけの銅肌をぜひご覧ください。
一度、灼熱に燃えたぎった後の銅の粗々しさがとってもかっこいいんです!
ここまでで、とんなでもないサイズ感・スケールであることは、皆様に伝わったのではないでしょうか。
さてこのあと、鋳塊の状態からさらに熱され(冒頭の写真の真っ赤っかの状態)、どうなると思います??
なんと、、、
なんと、、、!
とにかく伸ばされるんです!!
それはもう、徹底的に薄く伸ばされます。
↑テンション上がって動画にしてみました!
これを熱間圧延(ねっかんあつえん)ラインと呼び、国内最大級の圧延パワーで何度も何度もラインを往復しながら、さきほどの厚さ約26センチ→厚さ2.0ミリまで伸ばされます。
当然、鋳塊の長さが縦に伸び、大きな工場を縦に貫くように「とにかく長く、薄い板」に大変身しました。
■ここまでの工程■
①原料となる銅合金を1,200℃に熱し、8トン単位の鋳塊にする
↓※この間に成分検査も行う
②鋳塊を965℃に再加熱し、熱間圧延(とにかくうすく延ばす!)
↓※熱間圧延完了後に再度精密検査も行う
③粗圧延しながらコイル状に形成(20ミリから1ミリ程度までさらにさらに薄く延ばす!)
↓※この間に表面洗浄を行う
④⑤中間圧延くりかえし&仕上圧延(約0.1ミリ~1.2ミリまで、用途に合わせてとにかく薄く延ばす!)
精密機械も多く、圧延工程の細かな画像はお見せできませんが、このあとも鋳塊がコイル状に長ーく、うすーく延ばされていることをご想像いただけていると嬉しいです!
さっそくですが、洗浄や研磨を重ね、美しく光り輝く黄銅のコイルを早くご覧いただきたいと思います!
それがこちら!!
まばやくほどに美しい・・・
鋳塊の時の表面感、凹凸があったものとは、別物のようです。
そしてこのコイル(1ロール)、現段階でどれくらいの長さになっていると思いますか??
5.5メートルだったものが、なんと1つのコイルでなんと最大1万メートル(※)にまでなっているんです!!
その重さ、1コイルで8トン!!(そうでした…質量は変わらないのでした…)
皆様の脳内で、このコイルをレッドカーペットさながら勢いよく敷いていただくと、下関からちょうど小倉駅まで届くくらいです。
なんという巨大なスケールなんでしょう!
※1万メートル=10キロメートル。1,000メートルの10倍。
ここKOBELCO長府製造所では、1日に平均して約1,500本もの「鋳塊→コイルへの工程」を行うのだそうです。
薄すぎる、長すぎる、スケールが大きすぎる!そして美しい。
日本を代表するすばらしい技術の高さを、改めて痛感させられます。
■このあとの工程■
⑥ひずみの矯正
↓※ここからは検査段階が本格化します
⑦高感度カメラによる表面検査↓※ものによっては錫(すず)めっき加工⑧要望に合わせた幅に合わせ幅カット(スリッター加工)↓※最終の厳しい品質チェック⑨梱包&出荷
最終過程に近づくほどに、回数が増えるチェック工程。
取引先からの、年々求められるクォリティの高まりにも対応しています。
取引先の用途、サイズ幅に合わせてスリッターカットし、映画のフィルムの状態をひとまわり大きくしたような形状にして、丁寧に最終梱包され出荷されます。
金属製品の中でも加工しやすく、通電性の高さ特長の「銅」は、昔から人間の営みに欠かせないものでした。
KOBELCOでは、半導体や端子などの精密機器になる製品だからこそ、また、ときには安全性が求められる「自動車の制御機能」をも担う銅のパーツであるからこそ、均一の高い質を保つ責務を負っています。
・・・改めてこれ、下関市の魅力の一つだと思いませんか!!
ダイナミックに生み出され、手がかかるけれど、手をかけることで輝きを増す銅たち。
どこか箱入り娘が丁寧に育つ姿を見守るようで、可愛く、愛おしく思えてきちゃいました。
筆者の興味、熱がこもった取材になり恐縮ですが、実際の現地のスケール感、温度は皆様に伝わったのではないでしょうか。
昭和・高度経済成長の日本を支えた「巨大企業」としての背景だけでなく、全国から注文の絶えない確かな技術、製品のクォリティ、製造過程での真摯な安全管理の取り組みについて少しでも知るきっかけになっていただけたら幸いです。
※見学時快くご説明いただいた、野村さん、羽島さん、森岡さん、小野田さん、玉岡さん、岡崎さん、矢原さん、本当に本当にありがとうございました!
まだまだ伝えたりない!KOBELCOについて
みなさまは日本史などで「鈴木商店」という企業を聞いたことがありますか。
江戸時代から続いた日本の超有名財閥であり、日本の近代史に欠かせない、「株式会社」の先駆け的存在です。
”大正6年には当時の日本のGNPの一割に匹敵する現在の価値で50兆円を売り上げる総合商社となった”(Wikipediaより )
というから驚きです!
現在も、鈴木商店の流れを汲む企業は数多く、サッポロビール、アサヒビール、帝人、J-オイルミルズ、昭和シェル石油・・・そこに名を連ねるのが、KOBELCOなのです。
「鈴木商店敷地境界杭」
関門地区での当社事業は、大正6年(1917年)、北九州門司に神戸製鋼所の伸銅工場を合名会社鈴木商店が建設したことから始まりました。
これは、当時埋設されていた敷地境界杭です。
およそ105年前にここ関門エリアで現事業の前身が発足したことを、伝える石碑です。
江戸~大正~昭和、そして令和の現在へと、様々な変遷の中で日本経済と工業の最前線で活躍される企業の歴史に触れることができるので、来年以降の秋のイベント「長府フェスタ」の開催時には要チェックです!
「長府製造所」と日本の「野球聖地150選」
突然ですが、W杯でサッカーが盛り上がるまでの2022年は「野球」も話題の年でしたよね!?
メジャーリーグの大谷選手はもちろん、日本シリーズでの各チームの善戦も記憶に新しいのでは。
1929年に旧サンデン交通が開園した「長府楽園地」の一部でした。
今後もレジャーシーズンがくるたびに、長府の地と神戸製鋼の長府フェスタを思い出してください♪
それでは今回もせっかくなので、皆様と一緒に安全確認で締めくくりましょう!
|||||||||||||||||||
それでは皆さん、今年も「ご安全に〜♪」
|||||||||||||||||||
「神戸製鋼所 長府製造所」の地図や駐車場など詳細情報
株式会社 神戸製鋼所(KOBELCO) 長府製造所
下関市長府港町14-1
082-246-1211
一般の工場内見学不可
定休日なし
駐車場なし
株式会社 神戸製鋼所(KOBELCO)公式HP