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【イベント】琵琶朗読劇「波の下の都」 『祇園精舎の鐘の声〜』の平家物語は、涙にむせぶ日本史最大の悲劇だった!

日本人なら誰もがその名を知る「平家物語」。でも冒頭の有名フレーズ以外、中身は?と聴かれるとよく知らない人が多いはず。そんな平家物語を一流の琵琶と現代語の朗読で聴かせる朗読劇を「関門時間旅行プロジェクト」が作っていました。

2月の初演で全席完売となった「波の下の都」。GWの5月1日と2日に再演されますので、ぜひご覧になってはいかがでしょうか。800年の時を超える「時間旅行」が体験できますよ。

安徳天皇の母の目線でひとり語りされる平家物語

平家物語というと、一般的には軍記物…男たちの戦いの物語のイメージです。それが「波の下の都」では女性目線で描かれています。

じゃあ誰の目線かというと、6歳で海に沈んだ悲劇の天皇である安徳帝の実の母、平徳子=建礼門院です。考えてみれば、可愛い盛りの6歳の我が子が、一族の争いごとに翻弄された末に最後は徳子の実の母、安徳帝の祖母であの平清盛の妻の平時子=二位の尼に抱かれて入水するわけですから・・・その時の気持ちを想像するとたまりません。

しかも、自分も最後に海に飛び込むものの、徳子だけは敵に捉えられて京都に連れ戻され、その後お寺で尼になって生涯過ごすのです。想像を絶する壮絶ぶりです。

琵琶は日本琵琶楽コンクール第一位の筑前琵琶の第一人者

琵琶朗読劇「波の下の都」は、異色の2人の組み合わせで演じられます。


まず、琵琶と謡いには筑前琵琶の第一人者である髙木青鳳(せいほう)さん。2018年の日本琵琶楽コンクールで見事第一位に輝いた、文字通り日本一の琵琶演奏者です。琵琶もさることながら歌の迫力がまたすごい!一気に平家物語の世界観に連れて行ってくれます。

建礼門院役の語り部は下関在住の元準ミス日本!

そして、朗読を担当するのは下関リーディングの会代表の江原千花(ちか)さん。2011年、15歳のときにミス日本コンテストで純ミスにも選ばれている地元在住の女優さんです。

髙木青鳳さんによれば、朗読の人と一緒にやることは何度もあったけれど、これまではもっと「迫力」のあるタイプが多く、千花さんのような人との組合せは初めてだとか。でも、美しくも儚い国母「建礼門院」を想うと、もしかしたらこういう人だったのかもという気になったそうです。個性の違う二人のギャップこそ、この朗読劇の魅力の元になっています。


また、「平家物語」とはまったく関係ない詩人・童話作家の工藤直子さんの詩が、物語の冒頭と最後に挿入されているものとてもおもしろい演出です。「ともだちは海のにおい」というイルカとクジラの友情のお話からの引用なのですが、この言葉が不思議なほど平家物語の世界観とマッチしていて、長く愛されてきた古典のもつ普遍性を感じます。

平家物語の琵琶朗読劇を楽しむだけじゃなく、
復元された「門司港駅舎」や「先帝祭」も楽しめる


2月23日(土)に行われた「波の下の都」の初演は、2回の公演が予約で全て売り切れました。「平家物語」を壇ノ浦の戦いなどの舞台となった関門海峡・門司港で琵琶と朗読で聴く…というこの企画にニーズがあったことが分かります。

驚いたのはかなり遠くからお客様が来られていたこと。地元の門司や下関のお客様はもちろん多かったそうですが、広島、大分、熊本などに加え、関西・関東エリアからもこの舞台を目当てに多くのお客様が集まったそうです。


会場の三宜楼(さんきろう)は、昭和初期に建てられた木造三階建の旧料亭、かつての門司港繁栄のシンボル的建物です。2階の百畳間は出光興産創業者の出光佐三やノーベル賞首相の佐藤栄作などそうそうたるメンバーが宴会に使ってきた巨大な大広間で、この座敷で遊ぶというだけでも価値があります。


そして門司港のシンボル的建物といえば、なんといっても国の重要文化財に指定されている門司港駅。2月公演のときはちょうど駅舎の復元工事が完成し大正時代の美しい姿を見せ始めた頃でした。2月にはまだ駅前広場が未完成、各施設もオープンしていませんでしたが、今月グランドオープン!伝説の高級洋食店「みかど食堂」や門司港駅独特のデザインのスタバも営業を開始しています。

チケットについて、ふぐコース付きもあります!

前回真っ先に予約が一杯になったという公演(16時半)+三宜楼のふぐコースを特別料金で楽しむコースもあります。この特別コースの観覧予約は関門時間旅行の「波の下の都」公式サイトからネットで。もしくは三宜楼(門司港)・ウズハウス(下関)で販売中です。

公演だけであれば、前売券をチケットぴあで、セブンイレブンやファミリーマート、北九州芸術劇場や下関ドリームシップ、その他各種プレイガイドで手に入れることも可能です。


「平家物語ってこんな感動的な話だったのか!?」と驚くこと請け合い。とくに赤間神宮の一大イベント「先帝祭」に行く人は、前日に「波の下の都」で登場人物をイメージできていれば感動がずっと大きくなるでしょう。

5月公演の後も、関門時間旅行では定期公演化を目指して「波の下の都」を繰り返し上演予定ということですので、もしも今回も完売してしまったとしても見られるチャンスはまたあるでしょう。詳しくはウェブサイトをチェックしてみてください。

ABOUT ME
オキノミツカズ
オキノミツカズ

1975年山口県下関市生まれ。偶然読んだマンガの影響で建築を志望するようになり、大学進学と同時に上京。設計事務所を10年以上続けるも、2016年4月に単身赴任的なカタチで帰省しゲストハウス「ウズハウス」を開業。仕事以外の時間は録りためた2時間サスペンスを見てるか、買いためた小説を読んでるかの二択。

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