下関市羽山町3-3 [Google Map]
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「サンデンバス」はこんな交通網
「サンデンバス」の昭和歴史の深堀り、後編に参りましょう!
その前に、ぜひ前編を先にご覧ください♪
前編「下関といえば「サンデン」。そのデザインの魅力を深堀り!」はご覧いただけましたでしょうか!
下関の「昭和」を語るに、外せない「サンデンバス」。
後編も引き続き、今回は下関市の昭和期の成長を下支えした、「サンデンバス」の歴史を紐解きます。
今回取材させていただいた「サンデンバス」は、現在も山口県西部のほとんどを網羅する、広域な路線網が有名です。大正13年(1924年)に創業しました。
おさらいにもなりますが、
創業の当時の社名は「山陽電氣軌道株式会社」。(この社名から”サンデン”に!)
この図は、山口県全域地図の左半分をざっくり指していると思ってください。
そこから、時代の流れからバス事業に変換。
この昭和29年のバス路線図。
見るが易しですよね、とにかく広域!!
「県西を網羅」というのは簡単ですが、なんと、日本列島を縦断するほどの走行距離も有するんですね!チラホラ見える「温泉マーク」も実に気になります。
様々な市街を行き来した昭和29年当初とは、広域な路線範囲は変わらないものの、
時代変わって、市町村統合などもあり、路線内のほとんどが「下関市内」となりました。
↑筆者注目の「長関(ちょうかん)ルート」。
長府(ちょうふ)と下関を繋ぐことから。小さい字ですが、距離を示す分数表記は、現在もほとんど変わりませんので、ぜひ下関観光のイメージに使ってください・・・!
この上の昭和後期「市内観光電車乗車券」と現在の違いでいえば、中央右の観覧車のある「長府遊園地」と「下関水族館」。この2箇所が大きく変わりました。
当時から約70年近くの時が経ち、
水産業の隆興、高度成長期以降の旅行・観光業の盛衰・・・。
様々な変化がありました。
この2箇所を中心に、引き続き、自動車部業務担当副長 伊東大紀 さんからお借りした資料やお話を元に、昭和タイムトリップに参りましょう!
※以下掲載画像:「山陽電気軌道株式会社30年史」「サンデン交通80年史」他、サンデン交通蔵
会社の歴史をダイジェストでお伝えするに分かりやすい、貴重な写真を拝借。
今も同じ国道をひた走る「長関ルート」ですが、
大正時代に路面電車をいち早く走らせています。
【路面電車時代】
【現在】今もなお、変わらぬ景色、変わらぬ姿でひた走る。
バス車内より撮影(2020.11)
まさに創業当時から変わらぬ「長関線ルート」の姿!!
車体がバスになっただけで、景色がほぼ変わっていないのも、個人的に感動しました。
素晴らしい関門海峡沿いのルートを、変わらず走行しているんです。
なんともロマンがありますよね〜!!!
ところで今の時代、「上梅田」バス停をナント読む!?
ところで、これだけのバス停を有するサンデンバス管内には、
「おもしろバス停名」も様々あります。
今はなき、かつて大人気であった「マリンランド」バス停や「ニュージーランド村」バス停。”市民からの馴染みがある”など様々な事情で、名を残したまま運行中。
他にも「ライスセンター」なる停留所もあり、気になりますねぇ。
他にも、
深堀りしだしたらキリがなさそうな、
「天皇様(てんのうさま)」バス停
などなど、バラエティに富んでいます。
その中で更に昨年から注目されたのが、宇部市にある「上梅田(かみうめだ)」停留所。
はてさて、ナニで話題なのか!!?
そうです!まさかの・・・音読みすると
「 ジョー ・ バイ デン !! 」
第46代アメリカ合衆国大統領、バイデン氏のフルネームになるんですねぇ〜。(ニンマリ)
そんなバカな〜!!笑
とはいえ、同じ名前の土地は福島県にもありますし、なんだかオバマさんの時にもこういうのありましたね。
こういった報道は「アメリカ大統領選あるある」かもしれませんが、
元々実在する停留所がこんなにもマスコミから注目されるとは!!
駅周辺に公園やゴルフ場まである、拓けた「上梅田」の街が、
ネット上をざわつかせるという珍事。
他の停留所にも、まだまだ隠された注目ポイントがあるかもしれませんよね!
「サンデンバス」と「昭和」と「下関」と。
実は、現在サンデンバス本社のある「東駅(ひがしえき)」というエリア。
この場所が、下関の交通網における昭和史を紐とくに、絶好の場所なんです。これが当時からあった「東駅バス車庫」。
東駅は、もともとバスの操車所があり、バス用のガソリンスタンドも要するサンデン交通の拠点。
これは以前に統合した、地元企業「長州鉄道の東下関駅」が存在した名残なんです。
「名残り」ってナニ・・・どゆこと?
とお思いかもしれません。
実は現在、「東駅」という鉄道駅は存在しません。(・・・!)
取材中、サンデンバス伊東さんも、
「今でも、地図を見ている観光客の方で「東駅の電車の乗り場はどこですか?」と問い合わせもあるんです。どうお伝えすればいいか、説明に困りますが・・・」
とおっしゃっていたほど。
「東駅」は、地図上の土地名にもなく、”バス停名”や”ショップ名”、市民がエリアを示すときの”通称名”としてのみ存在します。なんとも不思議な存在。
みなさん、下関観光中はくれぐれもお気をつけくださいませ!!
こんな風に種類様々な、レトロバスが東駅に乗り入れていました。
これは、前後しますが創業当時の「電車開通式典」の様子。
なんでしょう・・・蔦?葉っぱ?で門を作って送り出すんですね。他にも同様の画像がちらほら・・当時は当たり前の風習だったのでしょうか。
また、どなたか「下関の生き字引」にお会いできた時に、お聞きしてみたいものです!
(この「関門ビル」は、唐戸エリアの観光スポット「カモンワーフ横」に、オシャレビルとして今なお建っていますよ〜。)
同じ場所、同じ道路の上に。
こんなにも華やかに、かつ大正昭和らしい!姿で、電車開通を祝ったという事実。
今なお、唐戸エリア・東駅エリアを中心に活気付く、下関市民の営みがここに残ります。
うーん、なんとも感慨深い!
ところで、かつて下関にあった「楽園」をご存知でしょうか
大きく変化があった施設は、「長府遊園地」と「下関市立水族館」と申し上げました。
「下関市立水族館」は、老朽化や台風での高潮被害なども重なり、閉館。
2001年に唐戸エリアに改め「市立しものせき水族館 海響館(かいきょうかん)」として生まれ変わりました。
(かつて、鯨にまつわる展示を行っていた「鯨館」は、今なお山頂を泳ぐクジラモニュメントとして、現存します!ぜひご一目ください!)
一方、「長府遊園地」はというと、昭和期に「西の宝塚」を目指し、サンデンバスが社を挙げた大事業として、2度も精力的に建設・運営を行ってきた幻の楽園地が存在したのです。
楽園地の前進となる大正14年(1925年)の創業当時は、蛍狩り、花火大会、菊花展、海水浴。
昭和に入り、娯楽の変化とともに増床。そこでは、
温泉、ビール広告、食堂。
野球場、ゴルフ、テニス、スケートリンク、遊園地、動物園・・・!!
私たち日本人の、癒し・娯楽って変わっていないものですね!?
一大行楽地として”2度”の大事業計画というのも、電車路線延伸、観光客招致が目的。
しかしその後、昭和初期の戦争激化や、戦後の経営悪化が原因で縮小・閉園。
そしてまた昭和7年(1932年)に再興しては、鋭意虚しく閉園。
まさに「夢となった楽園地」なのでした。
下関市内でも、当時を知る人はほとんど居られなくなりました。残念。
ここでも貴重な写真を発見しました!
現在は、神戸製鋼(現KOBELCO)の広大な工場が、楽園地であった頃の姿がこちら。
もはや海外の観光地!?かのようなアーチ使いの洋風建築と、空間の使い方。
野球場にはかのベーブ・ルースも試合したことがあるそう。
他にも、「一張羅の和服にカンカン帽姿」の昭和初期の紳士たちが野球を観戦する写真も発見!
まさにタイムトリップ!感動です!!
この事業がうまくいっていれば、西日本最大の観光地になっていたかもしれません。
なんてね!笑
バスガイド人気、全盛時代!
せっかくここまで深堀りして参りました。
サンデンバスの魅力を、いかに絞って端的にお伝えしよう!と思っても、漏れ出す昭和の華やかさ。
これぞ真髄!名物ともなったバスガイドの栄華を放って置けません!
かつての昭和30年代。
このバスガイドさんたちの活躍で「西の山電」と謳われるほど、超有名観光バス会社に上り詰めます。
4時間ほどしか眠れぬまま、日々の激務をこなし、立ったまま寝てしまうほど、西へ東へ忙しく居られたんだと言います。
立ち仕事というだけでなく、「未舗装の国道から出る埃や振動が身体に堪える」というリアルな証言が「サンデンバス80年史」にしっかり描かれていました。笑
なんともリアルなコメント!
全盛期には、修学旅行に加え、なんと話題先行で「日本一周の旅」も企画されました。
日本初の試み(!)のイベントで、北海道や青森県、新潟県佐渡島まで網羅する、完璧な日本旅行。バスガイドさん方のご苦労もひとしおだったでしょう。
その他にも、戦時下の昭和19年すでに女性運転手が誕生していた事実。
日本一周とは言わずとも好評な観光企画で、話題に事欠かないサンデンバス。
こういったOBOGの方々の素晴らしい活躍が、現在のサンデンバスに繋がっているのですね!
「サンデンバス」から嬉しいお知らせ♪
用途別に使い分けられる、フリーパスがシンプルにオススメ
壮大なサンデンバスの紹介の最後に、リアルにオススメなフリーパスをご紹介。
県外から来る家族、友人にはマストで教えてあげて欲しい!
移動で超過料金を気にせず、1日2日丸々下関を堪能できるフリーパスです♪
海沿いの人気スポットから、内陸の温泉地までも網羅するってすごい!
これは、下関市を深堀りするのに貴重なパートナーになりそう。
初めて下関観光をする方には、
「しものせき観光1日フリー乗車券」なる、有名観光地をちょこっと回るのに便利な730円の乗車チケットもあります。ぜひ、市民としては広くススめて行きたいものです。
また、こんな時代ですからペーパーレスで、スマートに乗車券やフリーパスを購入できるシステムもあるんです。
お世辞抜きです。なんてお得なんでしょう!!
また、チラシがあると周遊できるスポットを分かりやすく紹介してくれているので、たまにはふらりバスに乗って、予定を決めない週末旅にもオススメ。
あ・・・!あの、前編で話題の ”サンデンフグさん” の姿もありましたね。
今後とも、活躍を見守ってあげてください!
最後に、このバスカードは販売を終了し非売品ですが、
「路面電車時代」の車体の配色を元に作られているレトロ色の車体も、いまだ市内を走っている模様。
スマホ片手の便利な時代ですが、たまには顔を上げて!!
「下関の景色を」「昔から変わらないバス停の名前を」「バスのデザインの違いを」
を昭和から変わらぬ歴史ある姿を、皆さんそれぞれで見つけてみてくださいね♪♪
それでは、後編から読まれた方、前編をまだご覧でない方は、
どうぞ「前編」にて車体デザインについて深掘りした記事がございます。
ぜひ、ご覧ください!
「サンデンバス本社」の地図や駐車場など詳細情報
サンデン交通株式会社 本社自動車部
下関市羽山町3-3
083-232-7775
8:30~17:30
土日祝
駐車場なし
http://www.sandenkotsu.co.jp/bus/