北九州市門司区老松町2-12 [Google Map]
15:00~24:00
水曜日
地図や駐車場など詳細な情報はこちら
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「tent.(テント)」はこんなお店
皆さま覚えていらっしゃるでしょうか。
以前、門司港の老松公園横でみつけたオープン前のお店「テント(仮)」のことを。
その後、屋号を「tent.」とした同店は、2019年3月22日に無事オープンを迎え、今やゆるりと寛げる人気店となっていると聞き、ワクワクドキドキしながら行ってきました。
辺りはすっかり暗い午後8時。
老松公園横の暗がりに、店内からこぼれるほんわかと優しい光がほっとする。
風景に溶け込んだ看板もすごくオシャレ。
こんばんはー。
味わい深い素敵なアンティークのガラス戸を開け店内に入ると、なんだかお店の一部と化した店主のShuuさんが、穏やかな笑顔で迎え入れてくださった。あー。初めてお店をみつけた時もそうだったなー。
不思議と昔からの友達だったかのようにすんなりと受け入れてくださるのです。
カウンター席のみの店内はこじんまりしているものの、狭さは全く感じないほどまとまった造りで、驚くほど落ち着きのある空間。静かな山小屋にいるような感覚になります。
メニューはすごくシンプル。ひとまず白ワインを注文して乾杯。
以前みつけた「もう登らない、山」の本以外にも、スウェン・ヘディンの「さまよえる湖」や、植村直己の「冒険」など、ハイカーらしい本がずらり。
隅に立てかけていたスケボーは、今またブームなんだとか。
隣の先客はなんと門司港のゲストハウス「PORTO」の社長、菊池さん。菊池さんも「tent.」に魅せられ、今やすっかり常連客なのだそう。
『なんだか吸い寄せられるように集まってしまうのが「tent.」の魅力であり、店主Shuuさんの魅力なんですよね。』と菊池さん。
では、そんなみんなを虜にしてしまうShuuさんとはいったいどんな方なのでしょうか。
「tent.」の店主「Shuu」さんとは
30代の頃から、パシフィック・クレスト・トレイルという、アメリカのメキシコ国境からアメリカのカナダ国境まで、アメリカ西海岸を南北に縦走する長距離自然歩道と、ジョン・ミューア・トレイルという、カリフォルニア州内を、ヨセミテ峡谷(ヨセミテ国立公園)からマウント・ホイットニーまで、340キロメートルにわたって縦走するスルーハイカーとなり、最初から最後まで全区間を歩くチャレンジを続けて来られました。
「今までで一番苦しかったことはどんなことか」と尋ねたところ、砂漠で水が全く飲めなかったときが最もキツかったのだそう。立ち止まったり倒れたりはしなかったものの、水がない状況は食べ物がないより辛いのだとか。
「一番思い出に残っている美しい景色はどんな場所ですか?」の質問には、
『どれほど美しい景色をみても、見ているときは綺麗だなぁとすごく感動するんだけど、その感動もすぐに忘れてしまう。振り返って何年経っても思い出せるのは、人との出会いであって、人との繋がりだけがいつまでもずーっと心に残る。』とのこと。
苦しさも喜びも分かち合った仲間との、出会いや共に過ごした日々は、何年経っても楽しかった思い出として色濃く残り、『あの仲間たちと過ごしたあの時に戻りたい!』という衝動に駆られて、いたたまれなくなっても、『あの時』というのはいくら探しても、もう過ぎたことで二度と戻れない。その喪失感というのは、心の病になってしまう人もいるほどなのだと、とても悲しい目をしながら語ってくださいました。
『だからこそ、同じ気持ちだよって分かち合えるハイカーが集まれる場所でありたいし、世界中から僕に会いに来てくれる仲間のためにココにいる。だけどやっぱりずっとココにいると気が狂いそうになるからね、ほどほどに、それほど遠くないところにはまた、旅にでたいね。』と笑うShuuさん。
「tent.(テント)」の魅力はこちら
どんな場所にいたって、どんなことをしていたって、必ず学びがあって、何百何千kmを歩いてきた、これはShuuさんにしかわからない喜びや苦しみがあって、その喪失感もまた計り知れないけれど、それでもこうしてShuuさんでなければならない場所でShuuさんは生きている。きっとそういう様々な経験をしてきたShuuさんだからこそ、救ってあげられる心もあるだろうし、Shuuさんもまた救われるのかもしれないなと感じました。
時には『避難場所』であり、時には『居場所』であるみんなの「tent.」
誰かしらにとっての、かけがえのない時を刻むことのできる、あたたかい魅力的なお店なのでした。
「tent.(テント)」の地図や駐車場など詳細情報
tent.
北九州市門司区老松町2-12
15:00~24:00
水曜日
駐車場なし
tent.