インターネットに情報が出てないお店のひみつ
ウズハウスから9号線沿いに長府方面に少し行ったところ。壇の浦バス停すぐの交差点のところに「つくし」という店がある。
素敵なお店の予感がしていて、1月からずっと行きたかったお店はここのことだったのだ。
(1月24日撮影。うっすら雪化粧のつくし)
営業中。「つくし」への階段をのぼり入店。
内畠(うちばたけ)さんご夫婦で切り盛りされている。
前の経営者からお店を引き継いで41年になる「つくし」さん。前の経営者の頃とあわせると48年の歴史のあるお店。
自分の人生のはじまりとお店のオープンの時期が近いと同級生感覚を勝手に感じてしまう。同時期に産声を! 勝手に親近感。最近そういうことが多くなった。
奥行きがあり広い店内だ。手元だけならOKと撮影させていただいた写真たちでお店の雰囲気が伝わるとうれしい。
クリームソーダをオーダー。
奥にはカラオケステージもある。宴会が繰り広げられる日もあるそうだ。
昔はオールナイト営業をやられていたことや日替わりランチをやってたけどいまはやめたことなどを聞く。マイペースで営業を続けられているようだ。ときどき旅行に出かけることがあるので、常連さんは「開いてる?」と電話確認して来られるとか。
おとなりのお客さんはちゃんぽんをオーダーされていた。下関の食事を出す喫茶店にはメニューにちゃんぽんがある気がする。最近気になっていることのひとつだ。「スリランカ」にもちゃんぽんがあった。鍋焼きちゃんぽんの記載はなかったが、言えば出てきそうな気もする(こちらは憶測にすぎない)。
全国各地からのお客さんが感激するポイント&エピソード
マダムとの話はとても楽しかった。話しているうちにこの店に全国各地からお客さんが訪ねてこられることがわかってきた。
◎北海道からのお客さん。
お店から見える関門海峡の風景を見て、これ湖じゃないの?と驚いていたとか。先日感想文を書いた「関門時間旅行」の対岸の話を思い出す。
ちなみにいつか琵琶湖を見てこれ海じゃないの?と驚く…というのがわたしの夢のひとつだ。
◎東京からのお客さん。
ここのコーヒーが美味しい! ととても感動してテイクアウトしたいと希望されたそうだ。しかし「紙カップがないからできないわ」とのことで、そのお客さんはランチのあと午後おやつの時間に再度来店されたそうだ。
わたしもその話を聞いてコーヒーをいただく。
大きなサイフォンで8時間かけて抽出されたコーヒー。よどみなく澄んだコーヒーの風味、美味しいと思った。
「後味が残らないでしょ」とマダムが付け加えた。コーヒーは「豆」なんだな。って当たり前のことをしばし真剣に考えたりした。
◎遠方からのお客さん。
若い2人組。ヒッチハイクでこれから福岡に行くとかって。2人組はなかなか乗せてもらえないとか。
◎別の東京からのお客さん。
こんな美味しいエビフライが食べられるなんて。と食事の美味しさに感激されて帰られたそうだ。食事メニューはすべて手作りだそう。ぷりぷりの大きなエビフライのことを想像した。
◎遠方からのお客さんの多くは、関門人道トンネルで12〜13分ぐらいで向こう岸の九州に歩いていけるっていうことに本当に驚かれるそう。
丸いひさしの窓から海や行き交う船が見える開放感たっぷりのロケーション。
「ご飯を食べたい人は食べたらいいし、コーヒー飲みたい人は飲んだらいいし。来たい人が来たらいいのよ。」とマダムはおっしゃる。
それぞれ足を運ぶ目的は違えど、行ってみたら満足の懐の深さ、専門性が多方面に感じられるから、知る人ぞ知る名店なのだろうと思った。だからインターネットに情報がなくても全国からお客さんが集うんだろうと思った。
コーヒー好きも、古い喫茶店好きも、古い喫茶店のマッチを集めている人も、喫茶店フード好きも。若い旅人も、そして地元の常連さんも。
「もうあっちにカモンワーフがあるからね〜。最近は近くにマンションが建っちゃったから夜になると静かよ〜。」
お店がマイペース、お客もマイペース。それでこの調和がうまれているのかなってわたしは思う。
時代の変化と調和しながら、お客さんのニーズに柔軟に対応しながら営業を続けて41年。こういうのがロングライフデザインっていう考え方なのだろうか…。
「こういうマッチがあるお店、本物だね」これはあるお客さんに言われた言葉だそうだ。
初めてもらった喫茶店のマッチ。絵になるなあ…裏面の80年代ファンシーな感じも最高。これは集めたくなるのもわかるような気がする。
「今日はあったかいね〜」と常連のお客さんがうれしそうに入店するのを何度か見られてうれしい。この日、春の喫茶店はしごを楽しんだmiromiでした。